コインは四角

2024.02.25  会田 眞一

「コインの形は四角である」

28年前大学入試に向けて現代文の勉強をしていた時に、問題の本文として出てきた言葉です。

おそらく誰かの論文なのでしょうが今はもう覚えていません。

上記のフレーズだけが残っています。

 

私が国語の授業を持つ時は、生徒へ必ずこの問いかけをします。

「10円玉でも500円玉でも何でもよいので思い浮かべてください。さて、コインの形は何?」

すると多くの場合、「まる」「円」という答えが返ってきます。

中にはやや時間を置いて、「円柱」と答える生徒もいます。

そう、全て正解です。

正解ですが、あえて私は「実はコインって四角なんだよね」と言います。

「円柱」と答えた生徒は何かに気づいた顔をしながらなるほどと言いますが、「まる」や「円」と答えた生徒はきょとんとした顔をします。

もうお気付きですね。

真横から見たコインの形は長方形なのです。

 

よく「国語の勉強の仕方がわからない」と相談を受けます。

端的に言えば、国語は「思想を学ぶ教科」です。

現代文も古文も漢文も、そこに書かれているのは筆者の主張=思想(考え方)なので、それらを読むことで「こんな考え方があるんだな」と視野と知識を広げることができるのです。

時間という概念が不可逆性を持って常に存在している限り、国語の学習は全て「温故知新」です。

それらを知ることにより自分の知識を広く深くし、「気付き」や「発想」を経験し、自分のポテンシャルを高めていくことが国語を学習する一つの目的なのだと考えています。

 

さて「コインは四角」が何を私にもたらしたのか。

自分の「常識」という具現化した物体をイメージするとすれば、それをいつもと違う視点で見てみようという考え方です。

ビジネスの世界ではパラダイムシフトという言葉がありますね。

パラダイムシフトはその当時の常識から離脱します。

離脱する前にまず、「もしや」と気付く段階があり、それを例示したのが「コインは四角」なのだと考えます。

 

まず今自分が認識している「普通」を疑うこと。

その疑いに反論し、反論を論破し、論破した論をまた論破する。

それを頭の中で繰り返すと人生が少し楽しくなるよ、と生徒に話します。

私たちの仕事は、志望校合格という目標を通して、その先まで続く何かを伝えられる仕事だと認識しています。

楽しそうでしょう?

 

 

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