どうしても慣れないこと

2023.11.17  会田 眞一

塾の、とりわけ個別指導塾の生徒は所謂「普通」の枠に当てはまらない場合が往々にしてあります。

そしてその生徒のご家庭も所謂「普通」の枠に当てはまらない場合が往々にしてあります。

「普通」とは何なのかという議論はさておいて、個人的にどうしても慣れないことが一つ。

いじめに遭っている、遭っているであろう生徒への接し方。

これがとても難しいのです。

 

私自身中学生の頃にいじめに遭ったことがあるのですが、やはり非常に辛い日常で、先生にも親にも言えずただただ耐えるだけの日々でした。

先生に言えない理由は「ちくった」と言われいじめがエスカレートすることを恐れるが故。

親に言えない理由は「自分の子供がいじめられている」という現実を知って欲しくないしそれで心配をかけたくないし憐憫の情を向けて欲しくないが故。

言えるとしたら、無関係でない上に自分の言うことを信じてくれて、憐れまないけれど自分を否定しない、かつ約束すれば親にも黙っててくれて自分の同意なしには大事(おおごと)にしない人。

そういう都合の良い人にしか言えないのです。

 

私の生徒にはいじめが原因で転校した子、不登校になった子、いじめられている自覚はないけれど話を聞く限りいじめられているであろう子、親から虐待を受けているであろう子がいます。

そういう子達が少なくとも塾にいる時間は安心して誰かを頼れて自分の胸の内をさらけ出せるような、そういう空間にしたいと思っていますが、やはり慣れることはないです。

 

私の生徒の保護者には自分の子がいじめられている親、客観的に見れば自閉スペクトラム症でもギフテッドと信じたい親、過干渉に気付いていない親がいます。

そういう保護者達が少なくとも保護者面談をしている時間は安心して誰かを頼れて自分の胸の内をさらけ出せるような、そういう空間にしたいと思っていますが、やはり慣れることはないです。

 

塾の仕事は第一義的には成績を上げることですが、その根底にあるのは「受け入れること」「傾聴すること」と思っています。

教科という意味の成績を上げることが前提の親子共通のカウンセラー、というのがひとまずしっくりくる形でしょうか。

 

私自身、この業界16年目ですが、熟達すれども慣れることはないです。

今後も慣れることはないと思うので、いつでも初見のように「何ができるか」を機に臨み変に応じて考え抜く覚悟をしています。

 

やり甲斐のある仕事です、教育とは。

 

 

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