涼州詞(王翰)
葡 萄 美 酒 夜 光 杯
欲 飲 琵 琶 馬 上 催
酔 臥 沙 場 君 莫 笑
古 来 征 戦 幾 人 回
※書き下し文
葡萄の美酒夜光の杯
飲まんと欲すれば琵琶馬上に催す
酔ひて沙場に臥すとも君笑ふこと莫かれ
古来征戦幾人か回る
※現代語訳
葡萄酒(ワイン)を、月の光を受けて宝石で作った杯にそそぐ
飲もうとすると、琵琶の音が馬の上で鳴り響いた
酔って地面に倒れ伏してしまっても、どうか笑わないでほしい
昔から、戦争に行った者のうちどれだけの人が帰ってきただろうか(いやほとんど帰ってこない=私もおそらく生きて帰れないだろう)
私の好きな漢詩である
高校生の頃に漢文の授業で習い、今も一人でお酒を飲んでいるとふと頭に思い浮かぶ
特に「葡萄の美酒夜光の杯」のところ
美しくない!?
そして「古来征戦幾人か回る」のところ
戦争へ向かう悲壮感と覚悟が、月夜の野営地という静謐な状況と美が相混じって
美しくない!?
いや、理解されなくても良いのです
言いたいのは
勉強って何の役にたつの?と聞かれた時に
自分の感情の引き出しを広げるのに役立つよ
ということなのです
まぁ、勉強の仕方を勉強を通して学ぶという側面もあり
結果、試験の点数が良いとそれに応じた進学先を選べ
自分の未来の選択肢が増えるということは事実でそして最適解だなと思う
でもあえて
私は感情を、感受性を、豊かにするという効果を推したい
件の「涼州詞」を知っていたからと言って役立ったことはない
でも
一人で飲んで思い出すと良い気分になる
それで良いじゃない、と
ウィスキーロックダブルの富士山グラスを蛍光灯にかざして悦に入る独身アラフォーな私は、客観的に見て気持ち悪いんだろうなと自覚している
それもまた勉強である
好きな漢詩
2022.09.25 会田 眞一